現代のボードゲームの発信源と言えばドイツをはじめとしたヨーロッパですが、近年はアジアでもボードゲーム作りは盛り上がっており、幾多の意欲的な作品が各国から発表されています。中でも新たな潮流を起こす主役として熱い注目を集めるのが台湾です。今日では台湾のゲーム見本市にまで足を運ぶ熱心な日本人愛好者も出てきている程です。その流れの中で「発見」された、今世界でも最高レベルのクオリティと言える台湾発ボードゲーム、それがこの「電力世界」です。
プレイヤーは各自が架空都市の市長となり、自らの都市に安定的な電力供給を行うためエネルギーの発展計画を策定します。都市内に石炭・石油・再生可能エネルギー、そして原子力の発電所をバランスよく配置し、より多くの発電量を確保していくことで勝利を目指します。ただし、各種の発電所が生む大気汚染や放射性廃棄物の問題などを解決し、市民の支持率とのバランスを取っていかなければなりません。建物や燃料のタイルをいかに思う通り手に入れ、ボードの適切な場所に建設できるか、という部分に、プレイヤー間の濃密な駆け引きが集約されています。ドイツから生じたボードゲームの様々なアイデアを継承しつつ、明快かつ視認性にも優れた、まさに理想的なボードゲームとなっています。